職場でチームの協力を引き出す共感力:関係構築から連携強化まで
なぜチーム協力に共感力が必要なのか
職場で円滑に業務を進める上で、チームメンバーとの協力は不可欠です。特に、システム開発のようなプロジェクトベースの業務では、個々の能力に加え、チーム全体の連携力が成果を左右します。しかし、異なるスキルや考え方を持つ人々が集まるチームでは、時にはコミュニケーションのすれ違いや認識の齟齬が生じることもあります。
ここで重要な役割を果たすのが「共感力」です。共感力とは、単に相手に同情することではなく、相手の感情や立場、考え方を理解しようと努める能力を指します。この共感力を発揮することで、チームメンバー間の心理的な距離を縮め、お互いを尊重し合う関係を築くことができます。結果として、情報共有が活発になり、困ったときに助け合える風土が醸成され、チーム全体の協力体制が強化されるのです。
チーム協力を促す共感力の実践ポイント
チームにおける共感力は、日々の小さな関わりの中で育まれます。ここでは、実践的なポイントをいくつかご紹介します。
1. メンバーの話に耳を傾ける「傾聴」
相手の話をただ聞くのではなく、その言葉の背景にある意図や感情を理解しようと意識を向けるのが傾聴です。ミーティング中だけでなく、日常のちょっとした会話でも、メンバーが話している内容に真摯に耳を傾ける姿勢を示すことが大切です。
- 実践例:
- 相手が話している間は、作業の手を止め、相手の方を向く。
- 相槌やうなずきを用いて、聞いていることを示す。
- 話の途中で安易に意見を挟まず、まずは最後まで聞くことを心がける。
- 分からない点があれば、「それは具体的にどういうことでしょうか」と穏やかに確認する。
2. 相手の状況を想像し配慮する
チームメンバーはそれぞれ異なるタスクを抱え、様々なプレッシャーの中で業務にあたっています。表面的な言動だけでなく、相手の置かれている状況や抱えているであろう負荷を想像し、配慮に基づいたコミュニケーションを心がけます。
- 実践例:
- 忙しそうなメンバーに声をかける際は、「今少しだけお時間大丈夫でしょうか」と相手の状況を気遣う。
- 共有事項がある場合、相手の都合の良い時間帯や方法(口頭かチャットかなど)を考慮する。
- タスクが遅れているメンバーに対し、一方的に責めるのではなく、「何か手伝えることはありますか」とサポートを申し出る姿勢を示す。
3. ポジティブな側面にも共感を示す
チームにおける共感力は、困っている状況だけでなく、成功や努力といったポジティブな側面にも向けられます。メンバーの小さな成果や日々の努力に気づき、それを言葉にして伝えることで、チーム内のモチベーション向上や相互理解につながります。
- 実践例:
- メンバーが困難なタスクを達成した際、「〇〇さんの粘り強い取り組みのおかげですね。大変だったと思いますが、本当に助かりました」と努力や成果を具体的に認める。
- 日々の業務の中で気づいたメンバーの良い点(例えば、いつも丁寧にドキュメントを作成している、新しい技術を積極的に学んでいるなど)を具体的に伝え、「その姿勢、素晴らしいと思います」と共感的に表現する。
4. 意見の対立時に相手の視点を理解する
チームで業務を進める中では、意見が対立することもあります。このような時こそ共感力が試されます。自分の意見を通すことだけを考えるのではなく、なぜ相手がそのような意見を持っているのか、その背景にある考えや懸念点を理解しようと努める姿勢が重要です。
- 実践例:
- 相手の意見に対し、「そう考えられるのですね。そのように考える理由をもう少し詳しく教えていただけますか?」と、まずは理解に努める質問をする。
- 相手の懸念点に対し、「〇〇さんは△△について懸念されているのですね」と、一度相手の言葉を繰り返して理解を示し、「その点については、このように考えているのですが、いかがでしょうか」と建設的な対話を試みる。
まとめ
職場でチームの協力を引き出すためには、共感力が重要な鍵となります。メンバーの話を丁寧に聞き、相手の状況に配慮し、ポジティブな側面にも目を向け、意見の対立時には相手の視点を理解しようと努めること。これらの実践を通じて、チームメンバーとの間に信頼関係を築き、より効果的な連携を実現することが可能になります。共感力は一朝一夕に身につくものではありませんが、日々の業務の中での小さな意識と実践の積み重ねが、確実にチームの協力関係を強化していくことにつながるでしょう。